多種多様な職種が存在するリゾートバイトの中でも、アットホームな雰囲気が人気の山小屋住み込みバイト。
1日を山で過ごし、休憩時間には周辺を散策できるため、登山好きには最高のバイトです。
とはいえ、長期間住み込みで働くとなると生活や仕事内容、休みなど気になることが山ほど出てきますよね。
そこで、この記事では実際に山小屋で半年間働いたことのある筆者が、バイトのリアルを赤裸々に紹介します。ぜひ参考にしてください。
この記事で紹介する内容
- 山小屋の1日
- 仕事の流れ
- 休みや給与、待遇
「この山域で働きたい!」という方は、早めの応募をおすすめします。なぜかというと、人気の山域はすぐに枠が埋まってしまうからです。
そこで、全国の山小屋アルバイトを探すなら、インクノットで求人を探してみてはいかがでしょうか。
筆者が働いていた北アルプスの山小屋では、シーズンが終わる10月頃から募集を開始していましたので、その時期に応募すると人気の山域で働けますよ。
ライバルにいい求人を先越される前に…!
山小屋での住み込みバイトの全体像
まずは山小屋バイトとはどんな仕事か、について紹介します。
山小屋バイトとは、その名の通り山小屋の仕事をするバイトです。基本的に住み込みのバイトになり、長期間山小屋で暮らしながら仕事を行います。
また、山域によりますが場合によっては自力で小屋まで登山しなければいけないこともあります。
北アルプスはヘリで小屋まで行けるため、雪山登山のスキルは必要ありませんが、八ヶ岳は小屋によっては自力で行かなければいけません。
仕事の内容
受付、厨房などの役割分担はありますが、物資の運搬や掃除、登山道の整備なども行います。仕事の時間や内容は時期によって結構変わりました。
筆者の勤めていた山小屋は4月下旬〜11月までです。シーズンを通した仕事内容をまとめると以下のような感じです。
4月〜ゴールデンウィークまで
仕事の内容
- 物資の運搬・整理
- 生活基盤の確保
- 清掃
- 小屋開きの準備(雪かきなど)
山小屋の最初の繁忙期、ゴールデンウィークに向けた準備をします。
この時期の山小屋は、ご存知の通り雪山シーズン。そのため雪かきが主な仕事です。
小屋が雪に埋もれているため、入り口を開けられるよう雪かき作業です。
また、生活するために水の確保も必要です。水源まで降りて水を引き上げたり、貯水タンクの周りを雪かきします。
気になる物資ですが、ヘリが下界から運んでくれるためヘリポートから倉庫へ運べば大丈夫です。
仕事を覚えるのも、この時期ですね。
ゴールデンウィーク
仕事の内容
- 役割分担通りの仕事
- 清掃
最初の繁忙期到来です。
筆者のいた山小屋は、大きく分けて受付と調理補助に役割が分かれていました。
調理補助の場合は、人数分の朝食と夕食を用意するのが大まかな仕事です。キャベツを刻んだり、レシピ通りに味付けします。
盛り付けし、配膳。食べ終わったら片付け。一通り終わればその日の業務は終了です。
それ以外の時間は、部屋や小屋全体の掃除をします。
ゴールデンウィーク後〜夏山シーズンまで
仕事の内容
- 役割分担通りの仕事
- 登山道の整備
- 小屋の手入れなど
ゴールデンウィークが終われば山小屋は閑散期に入ります。仕事の量も少なくなり、比較的多くの自由な時間が取れます。
この時間を使って周辺を散策する人が多かったですね。まだまだ雪の多い時期で危ない場所もありましたが、雪山を楽しめる貴重な時間です。
お客さんが少ないため、外観のペンキ塗りや小屋内のワックスがけなどの仕事が多くありました。
後でまとめていますが、従業員が休みをとるのもこの時期です。
雪が溶ければ、本格的な登山道の整備を行います。川に橋をかけたり、土砂が流れそうな場所を木で流れないようにしたりなど力仕事がメインです。
夏山シーズン(7〜8月)
仕事の内容
- 役割分担通りの仕事
- 清掃など
シーズン最大最長の繁忙期です。
早いときには3:30から仕事が始まり、22:00まで寝られないこともある時期です。
この時期は休憩時間にしっかりと休息を取ることが大切です。
調理補助担当にとっては、食事の時間は大忙しになります。
大体1回50分の食事時間を設け、それが5,6回あります。配膳や盛り付け、片付けにひたすら奔走する時間です。終わる頃にはくたくたでした。
とはいえ、ここさえ乗り越えてしまえば後は楽です。踏ん張りましょう。
9月〜小屋閉め
仕事の内容
- 役割分担通りの仕事
- 小屋閉めの準備
夏山シーズンが終われば、あとはほどほどの忙しさです。
紅葉が美しい時期のため、3連休などの長期休暇でたまに忙しくなりますが、夏山シーズンほどではありません。そのため休暇の取得が可能です。
10月後半からは小屋を閉める準備が始まります。
窓から雪が入らないように目貼りしたり、水を引いていたホースを回収する作業を行います。
小屋の戸締りをし、下山すればシーズンは終了です。登山道は来シーズンまで雪で埋もれてしまうため、川にかけた橋を安全な場所に片付けながら下りていきます。
山小屋の生活
山小屋がある場所は、大抵宿泊する必要がある高山です。
筆者が働いていた場所は標高2500mで、登りに6時間ほどかかる場所にありました。なので、下界の生活とはかなり違う点があります。
1日の流れ
まずは山小屋の1日を紹介します。
時期によって前後・変化しますので、秋シーズンの1日を解説していきます。
- 5:00
起床
朝食準備・盛り付け - 6:00
宿泊客の朝食
片付け・従業員の朝食準備 - 7:00
従業員の朝食
自由時間(山登り) - 8:30
掃除 - 10:00
おやつ
昼食準備・喫茶の調理
配膳 - 12:00
昼食
宿泊客の夕食準備・喫茶の調理、配膳
交代で休憩(山登り・昼寝) - 17:00
宿泊客の夕食(配膳・片付け) - 19:00
従業員の夕食
自由時間(星を見る・おしゃべり・雑誌を読む) - 22:00
就寝
良い言い方をすれば3食おやつ付きです。
早寝早起きが基本なので、夜更かし常習犯の筆者は最初キツかったですが、働いているうちに慣れました。
慣れてくると体の調子がかなり良くなります。早寝早起きは健康に良いというのを実感しましたね。
物資はヘリが運んできてくれ、食事の材料は担当の人に頼めば発注票に加えてくれます。
山小屋の待遇
給与
同じ山域でも、小屋によって結構違いが出てきます。
筆者がいた山小屋は、契約社員扱いだったので年金や健康保険料がひかれ、手取り18万円でした。
食費・光熱費・家賃はかからず、お金を使う場所もなかったため、めちゃくちゃお金が貯まりました。
約6ヶ月だったので、100万円ぐらいです。
休日
休日はシーズンを通して35日ほど与えられていました。
繁忙期を避けて、従業員同士で相談して休む日を決めます。ですので、7,8月の繁忙期を避けて休日をとっていました。
2週間ぐらいまとめて取る人や、近くの山域へ登山しに行くのに数日だけ取る人など様々です。
下界へ行く場合はまとめて取る方がゆっくりできますよ。下山は自力なので、雪山登山の技術がない人はできるだけ雪の少ない時期がおすすめです。
筆者も雪山の経験がなかったため、6月の雪が少なくなってきた時期にまとめてとっていました。
山小屋バイトのメリット・デメリット
登山好きにはたまらない山小屋のバイトですが、やっぱり良いところ・イマイチなところはあります。
メリット
山小屋アルバイトの良いところは以下の5つです。
山小屋アルバイトのメリット
- お金が貯まる
- 登山仲間ができる
- 山に登り放題
- 健康になる
- 季節の移り変わりを楽しめる
お金が貯まる
既にお伝えしたように山小屋の周辺、少なくとも気軽に行ける範囲にお店がないため、お金を使う機会がまったくありません。さらに生活費もかからないため、お金がかなり貯まります。
登山仲間ができる・山に登り放題
山小屋アルバイトは性質上、登山好きが非常に多いです。そのため、下界ではできなかった登山仲間ができます。休憩時間に山登りできるのも嬉しいですね。
また、普通に暮らしていたらまず出会うことのない人と出会えます。年間を通して海外を旅している人、元自衛隊、元南極観測隊など世界が広がること間違いなしです。
健康になる
山小屋の生活は早寝早起きで、食事は栄養バランスの取れたものです。
おかげで、シーズン中は風邪を引きませんでした。
季節の移り変わりを楽しめる
春先から秋の終わりまで山にいるため、季節の移り変わりを直に感じます。
雪景色から夏の青々とした山、紅葉に染まった色とりどりの景色を楽しめます。山小屋バイトの醍醐味ですね。
デメリット
山小屋バイトのイマイチなところは以下の4点です。
山小屋アルバイトのデメリット
- 人間関係がギクシャクすると大変
- インターネットがあまり使えない
- 場所によっては1週間お風呂に入れないことも
- 娯楽が少ない
人間関係がギクシャクすると大変
山小屋は小さな小屋の中に複数人が住む集団生活です。ご飯も寝るときも一緒なため、家族のように仲良くなれます。
一方、人間関係がギクシャクするとプライベートがなく、しかも長時間労働のストレスが重なって最悪です。逃げ場がありません。
人間関係を築くのが苦手な方にはちょっとおすすめできないバイトです。とはいえ、同じ趣味を持つ仲間が集まりやすいので、仲良くなりやすいのも確かですよ。
インターネットがあまり使えない
山小屋は山の奥深くにあるため、電波が届きにくいです。そのため、インターネットは自由に使えません。
筆者がいた山小屋ではなんとかドコモとauが届きましたが、たびたび電波が途切れることがありました。
場所によっては1週間お風呂に入れないこともある
山小屋の場所によっては、水の確保を雨水に頼らなければいけないこともあります。そういった場所ではなかなかお風呂に入れません。
とはいえ、みんな同じ状況ですし、登山者も小屋につく頃には汗だくになっています。人によると思いますが、臭いを気にする必要はないと言えます。
逆に臭いが気になる人や潔癖症の人には厳しいかも…。
娯楽が少ない
ここまでの話で想像がついていると思いますが、山は娯楽が少ないです。
娯楽といえば登山や天体観測、食事、カードゲームぐらいです。
特に食事は、山小屋最大の娯楽と言っても過言ではありません。料理の味は山小屋バイトの楽しさに直結します。
山小屋バイトの前に料理の腕を磨いておくと重宝されますよ。
山小屋での住み込みバイトをするのに利用した求人サイト
山小屋での住み込みバイトの探し方を紹介します。
利用した求人サイトはインクノット
筆者が山小屋バイトをするのに利用したのは「インクノット」というサイトです。
インクノットは山小屋バイト専門の求人サイトで、上は北海道から南は九州まで、日本全国の山小屋バイトの求人を取り扱っています。
応募方法は簡単で、電話で問合せ、履歴書を送って終了です。
履歴書の部分はエントリーシートの記入をお願いされるなど、山小屋によって異なると思います。
その他一般的な山小屋バイトの見つけ方
一緒に働いていた従業員や他の山小屋の方に聞いてみたところ、やはり「山小屋 バイト」などのインターネット検索でインクノットから応募した方が多かったです。
その他には友達から勧められたりといった形でした。
山小屋での住み込みに必須のアイテム
筆者が身をもって感じた山小屋の住み込みバイトで必須のアイテムは、防寒具と日常で使うアイテムです。
防寒具
まず防寒具についてですが、小屋開けの時期、山小屋内はほぼ氷点下です。
正確な温度は不明ですが、寝袋2枚と毛布でガタガタ震えるほどの寒さでした。
寝るときは厚着で寝ていましたね。ヒートテック2枚、長袖、フリース、ダウンという感じで寝ていた記憶があります。
経験からいうと、もし登山用の寝袋を持っているなら持ち込んだ方が良いです。
快適度が段違いなので、あるなら持っていってください。そこに防寒具があれば完璧です。
持っていない場合は、考え得る限り最大限の寒さ対策をしましょう。
日常で使うアイテム
次に日常で使うアイテムですが、最初に言っておくと山小屋にはほとんど物がありません。
備え付けのシャンプーや寝具はありますが、個人で使う歯ブラシなどは置いてないです。
(参考)山小屋アルバイトに必要なアイテム
- 歯ブラシ
- 眼鏡やコンタクトレンズ
- 生理用品(女性)
- 着替え
- その他娯楽用品(本や漫画、カメラ、スマホなど)
- 下山時に必要な登山用具
- 持病がある場合は期間分の薬
以上のアイテムがあれば大丈夫でしょう。その他、個人的に「必要だなぁ」と思う物があれば持ち物に加えてください。
まとめ
- 山小屋バイトは半年ほど住み込みで働く
- 生活費が無料で使う場所もないからお金が貯まる
- 登山好きとつながりができる
- 絶景を独り占めできる
- 簡単に下山はできない
- 娯楽は少ない
山小屋バイトについて、体験談を交えたリアルを赤裸々に紹介しました。
仕事とはいえ、山小屋バイトは山の魅力を存分に味わえ、同じ趣味を持つ仲間を得られます。また登山の技術について教えてもらえることも。
そのため登山好きな方や自然豊かな場所で働きたいという方に向いているバイトです。
山小屋アルバイトを見つけるなら、インクノットから探してみましょう。
人気の山域や小屋は早い者勝ちなので、10月は頻繁に求人サイトをチェックしましょう!